【現状と課題】
- 障害者の権利は、2006年に国連で採択された障害者権利条約において初めて明確に示された。日本政府は2014年に批准したが、社会の中での障害者差別は依然として多い。
- 1 ステークホルダーとしての障害者の参加が制限されている
対応策は、①医療や障害分野の専門家、親を代弁者としてすませない、②特に企画、立案、モニタリングにおいて当事者の参加を半数以上とする、③WHOの報告によると人口の15%といわれる障害者の存在を重視する。
- 2 アクセシビリティの確保と合理的配慮の提供が不十分である
少なくとも、①2006年のバリアフリー新法の順守と②障害者差別解消法では義務とされていない民間企業もちょっとした工夫で構わないので合理的配慮の提供を行うべきである。
- 3 区別や分離がみられる
高齢者やベビーカーの家族も使う「みんなのトイレ」は休日には車いす使用者を排除しかねない例からも、障害者への特別サービスは選択の権利を奪っている。障害者を分離した取り扱いをやめ、最初から障害者の参加・使用を想定し、インクルージョンを目指すことが必要である。障害の有無を問わずバリアフリーは生活を便利、安全としてくれるように、グローバル化、高齢化する社会にむけて、障害者が利用可能なものは非障害者にとっても使いやすいと認識すべきである。
【NAPへの提言】
- 障害者の人権を守る国や地方自治体の法的枠組みが不十分であり、国の施策や企業の事業活動において人権侵害や差別が起こっても救済措置が不十分である。まずは、障害者権利条約の国内モニタリング制度を機能させるべきことをNAPで強調すべきである。
- 今後のNAP策定プロセスでは、障害者自身の声を聞き、参画を保障することを求める。
- 障害者の参加推進のためアクセシビリティに十分に配慮することを求める。
(認定NPO法人ディーピーアイ日本会議〔DPI日本会議〕)
2018.11.25
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