「ビジネスと人権」に関する行動計画の原案に対する意見書
公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン
「ビジネスと人権」に関する行動計画原案へのパブリックコメント提出の機会を設けて頂きありがとうございます。公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパンとして、第2章行動計画につきまして以下のコメントを提出させていただきます。ご検討の程、よろしくお願いいたします。
意見およびその理由:
1)8ページ「具体的な措置」の(イ)「ハラスメント対策の強化」にILO第 190 号条約「仕事の世界における暴力とハラスメントの撤廃に関する条約」の批准およびハラスメントを防止する法律の制定を行い、就職活動における求職者・就職志願者へのセクシュアルハラスメントも実態を把握し対象にするように努めることを明記してください。パワーハラスメント防止法は、事業主のハラスメント防止措置の義務化を定めているのみで、罰則や禁止規定がありません。また、ILO190号では労働者に加えて求職者・就職志望者も保護対象としています。
2)8ページ「イ. 子どもの権利の保護・促進」の子どもの性被害防止への取り組みについて、法の網をかいくぐり子どもへの性的搾取を行ういわゆる「JKビジネス」を規制する法整備の強化を更に推し進めることを明記してください。
3)9ページ「ウ. 新しい技術の発展に伴う人権」の具体的措置の「ヘイトスピーチを含む」の部分にジェンダーに基づく誹謗中傷、ハラスメント、攻撃、オンライン上のストーキング、リベンジポルノなどあらゆる形態のオンライン上のジェンダーに基づく暴力への対応も明記してください。また、女の子と女性への性的対象化やジェンダーに基づく固定観念は日本国内において性暴力の根本原因としてCEDAW委員会から指摘を受けており、インターネット上のコンテンツや広告にも散見されます。対策としてオンライン事業事業主へのガイドライン作成を支援することを言及してください。
4)11ページ (ウ)「女性活躍の推進」では経済成長のための女性活躍としてか記載がありません。女性の活躍推進を経済成長のみならず、女性の人権として捉える記載をしてください。日本は世界的にみても政治と経済の分野でジェンダー格差が大きく、特に男女の管理職比率、男女のフルタイム労働賃金の格差が大きいのが現状です。
・女性が担っている家事、育児・介護などの無償労働の認識を広め、その再配分のための取り組みを促すため、男性の働き方改革だけではなく固定的な性別役割分業やジェンダー規範を変えていくことを明記してください。
・女性が活躍できる環境づくりとして、男女の賃金格差、昇格での差別、役員、管理職における男女比率の格差是正、特に子育て世代が働きやすい職場づくりのための制度・環境整備、あらゆる形態のハラスメント防止と救済制度強化について言及してください。
5)12ページ「 (オ) 雇用の分野における平等な取扱い」で、雇用・採用プロセスにおける女性差別の実態を把握し、対応する。また、女性の雇用が増えても依然として非正規雇用率が高いことを是正する努力をすることを明記してください。採用では「女性である」ために不利になったり、採用試験を減点されたりする不当な行為がないか、日本政府は実態を十分に把握する必要があります。
6)13ページ「イ. 開発協力・開発金融」について、「女性・平和・安全保障に関する行動計画」や環境におけるガイドラインについてしか言及がありません。ジェンダー配慮のためのガイドラインを作ることを検討すると述べてください。
7)16ページ「(カ)教育機関等関連機関に対する,行動計画等の周知」に、多様性を認め、健全な人間関係の育成も目指している、ユネスコ推奨の包括的性教育を義務教育化し、小学校低学年よりジェンダーに基づく偏見や差別観をもたない人材の育成をすることを推し進めると明記してください。日本では学校におけるジェンダー教育が十分実施されているとは言い難い状況です。
以上
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