NAPへの提言:LGBT

【現状と課題】

  • 日本では、性的指向・性自認について、2017年の内閣府「人権擁護に関する世論調査」において「差別的言動をされること」が5割近くにのぼることをはじめ、いじめや嫌がらせ、差別的取扱いなどについて、民間も含めた各種統計データから明らかになっている。
  • このような状況にもかかわらず、性的指向・性自認による差別を禁止する法律はもとより、性同一性障害の性別変更に関する法律以外には、関係法が存在しておらず、政府の窓口となる担当省庁、部署も存在していない。そのため各省庁はそれぞれ啓発などを実施しているものの、その効果検証などが行われているわけではない。例えば法務省の人権啓発については既に15年近く実施されているが、公人やメディアにおける暴言や差別的言動は後を絶たず、関係する訴訟なども相次いでいる。
  • 東京オリンピック・パラリンピック競技大会の実施をにらみ、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は「持続可能性に配慮した調達コード」が策定されており、性的指向・性自認による差別やハラスメントの禁止が盛り込まれている。加えて、日本の主要な労使団体も差別禁止を掲げていることから、差別禁止法の制定が待たれるところである。

【NAPへの提言】

  • 性的指向・性自認に関し、企業の事業活動上の差別も含めて禁止する立法が必要であることをNAPに明記すべきである。この法律には、差別禁止条項だけでなく、ハラスメント防止措置や、合理的配慮義務も加えるとともに、基本法的な性格を付与し、行政の体制整備を規定すべきである。また、日本学術会議が提言するように、法の制定に併せて、雇用をはじめとする各種ガイドラインを策定すべきである。

(性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等
に対する法整備のための全国連合会〔LGBT法連合会〕)

2018.11.25

 

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