【現状と課題】
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児童労働問題に日本は企業のサプライチェーンを通じ、また国内問題としても課題を抱えている。世界で1億5200万人(2017年ILO発表)もの児童労働はSDG8.7の中で2025年までの全廃を目標と掲げているが、現状その達成見込みは厳しい。その中で各国の法整備や社会福祉政策を通じた取り組みだけでなく、サプライチェーンを通じた企業の取り組みが注目を集めている。ビジネスと人権指導原則の発表以降、各国で企業のサプライチェーンにおける人権問題に関する情報開示を促す法律の成立・施行が相次いでいるが、日本には企業にサプライチェーンの人権デューディリジェンスを促すような法律はない。公共調達においてもそのような観点は含まれていない。
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人国内の子どもの貧困が7人に1人という現状の中で、「最悪の形態の児童労働」(ILO182号条約により定義されている、強制労働、性的搾取、児童ポルノ、非合法行為、危険有害労働等)に従事する18歳未満の子どもが増えることが懸念されている。日本はILO182号条約を批准しているが国内行動計画は策定しておらず、関係省庁内に国内の年少者の違法労働という視点を持つ担当部署も存在しない。
【NAPへの提言】
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企業のサプライチェーンの人権デューディリジェンスを促す法整備に関する検討の必要性をNAPの中で言及すべきである。
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持続可能な公共調達を目指す公共調達の基本的な考え方を定める基本法等を制定し、グリーン購入だけではなく社会にも配慮した公共調達について検討する必要性をNAPの中で言及すべきである。
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日本国内の児童労働問題についての、実態調査等も含めた取組強化のための体制整備を行い、行動計画を策定することを明記すべきである。
(児童労働ネットワーク〔CL-Net〕)
2018.11.25
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